2015年01月28日

365日かけて会計の本質をじっくり身に付ける方法

今回取り上げるテーマは次の通りです。

・IFRSを任意適用する日本企業とその意図
・365日かけて会計の本質をじっくり身に付ける方法


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(本編)
日本でも、IFRSを任意適用する会社が増えています。国際化が進んでいるのでしょうか?

※IFRSとは「国際財務報告基準」と訳される会計基準のことです。イファースとか、アイファースなどと呼ばれます(決まっていません)。
日本の上場企業は、望むならばIFRSに基づいて決算書を作り、公表できるということになっています。

経営者たちは、海外からの資金調達を考えているのかもしれません。また、利益のことを考えているのかもしれません。

経営者が利益のことを考えるのは当たり前です。ただ、それは、正当な努力のもとに実体のある価値を生み出すことによってでなければなりません。

IFRSと日本基準との間には大きな溝が横たわっています。両基準の間にある大きな差異のひとつに、のれんの定期償却というテーマがあります。

日本基準はのれんを定期償却することを強制しています。一方、IFRSはのれんを定期償却することを許していません(強制的に不可なのです)。

巨額ののれんを有する会社にとって(いいかえれば、巨額の資金を投じて事業買収を行ってきた会社にとって)、のれんの償却費は損益の面で大きな重荷になるものです。

日本基準に則して行う決算では、のれんの償却費が利益を(いいかえれば経営者の能力を示す指標を)圧迫します。

一方、IFRSを採用する会社にとって、のれんの償却費は負担となりません。その分、利益が(日本基準を適用する場合に比べて)かさ上げされる結果となります。

日本の証券市場に上場しつつ、IFRSを任意適用する会社を眺めてみれば、巨額ののれんを抱える会社が少なくないことがわかります。

このことが何を意味しているのか。

私たち投資家は経営者の意図を透徹する努力を怠ってはならないと思います。

投資家のために(特にこれまで会計に親しむ機会の少なかった投資家のために)、会計
の本質をつかむ一助となれるようにと、メールセミナーをつくりました。
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決算書に強い投資家になるための365ヵ条

第45条:「のれんの償却について理解する」

解説:
・有望な他社を買収すると、のれんという資産が計上される場合が多い(のれんについ
てはあとで詳しく述べる)。のれんは無形の資産。日本の会計基準はのれんの効果が及
ぶ期間内に費用処理することを求めている。

・のれんの効果が及ぶ期間とはいったい何年なのか?5年なのか20年なのか。誰も断定
的に答えることはできない。しかし計算のためには前提をおかねばならない。その前提
を決めるのは誰か?経営者である。

・かように利益の額は、経営者の見積り、判断によって、少なからず影響を受ける。
そしてその判断は長期に亘って企業の業績に影響を与え続ける。
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posted by SHOJI at 21:04| Comment(0) | 会計と投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月14日

畏怖について

対象がなんであれ、自分が理解できていない部分は必ずあるわけで、100%理解できているものなどない。結局のところ、不確実性は必ず残る。

確実なのはただひとつ、不確実性が残るということ。

この感覚が投資家にとっての畏怖ということなのではないか。畏れは、生き残るためにも大切な感情なのだと思う。

畏れを知らない投資家は、まだ未熟なうちに滅んでしまう。畏れを知る者だけが理解を深める努力を継続し、健全性を保つことを大切にし、やがて本当の意味で豊かな資産を築くことになる。
こういうことを僕はある武術家に教わったのだけれど、投資にも通じることだと思ったのでここに書く。
posted by SHOJI at 09:08| Comment(0) | 投資の感性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月09日

決定的なタイミングについて その2

(最悪の15日間を避けることはできるのか)
・ここまではよくある考え方である。では逆の場合はどうだろう。

・この13年間で最悪の年は2008年の△40.3%だった。

・この2008年において最も株価が下げたワースト15日間を考えてみる。同じく2001年末に100万円を日本株に投資して、これら最悪のタイミングを上手に避けることができたらどうなったか。

・答え:2014年末において418.3万円となる。+318%のゲインだ。4倍超になるのだ、これはすごい(素で驚いた)。

・タイミングを上手にとらえることができるのなら(上手に逃げることができるのなら)バイ・アンド・ホールドに比べて3.8倍の超過リターンが得られるのだ。試してみる価値はあるのだろうか。あなたは0.5%をとらえられるか。

(考察)
・最良の年のベスト15日間と、最悪の年のワースト15日間を比べて見たところ、1日当たりの変動率は下げるときの方が圧倒的に大きかった。2013年のベストは6月10日で+5.2%、対して2008年のワーストは10月16日の△9.6%である。市場参加者は逃げ足が速いのだ。

・そして2008年のワースト15日間のうち、7日間が10月に集中している。セル・イン・オクトーバーであった。ビール飲んでる場合ではない。

・その一方で、上げるときはじわじわと上げるものらしい。2013年のベスト15日間は6月が5日間を占めているが比較的ばらけている。そして変動率は下げるときに比べてずっと緩やかだ。

・上げ相場を掴みたい人は、できる限り長く市場に居続けることを心がけねばならないようだ。そして逃げるときには脱兎のごとく去らねばならない。リスク・オンとリスク・オフの切り替えは種類の異なる動作・意思決定が求められるものらしい。

・ぱっと入ってぱっと出る、といったタイプのデイ・トレーダーたちは、小さなゲインと大きなロスに見舞われる可能性が高いといえそうである。それに加えて売買手数料も積み重なって来るのだから、損する人が9割を超えるというのも納得の話である。

(まとめ)
・短期トレードはやはり難しい。「相場は結局、上がるか下がるかのふたつにひとつである」などという人は、私は何も分かってないんですよと言っているに等しい。

・何より最大の損失は、相場が気になって本業が手に付かなってしまうことだと思う。プロのトレーダーならいざしらず、そうでなければ昇給のチャンスも社会的信用も損ないかねない。

・相場の変動に意識がとらわれてしまうこと、時間が喰われてしまうことも大きな問題である。

・やはり僕には、ほったらかしのバイ・アンド・ホールドが向いているようだ。有報・四報・短信を読み込んで、自分なりに価値を見極めたうえで、株価が下がるのを待ちかまえて投資し、持ち続ける。この方針であれば、いったん投資した後は基本的に他のことに時間を割け、エネルギーを注げる。他の仕事にも集中できる。何より投資を楽しめる。やはり楽しんでこその投資であり、楽しめるくらいでなければ、正当な果実は得られないと思う。そう考えるからこその「楽しい投資研究所」なのだ。

以上

Best15daysAndWorst15days.png
posted by SHOJI at 14:37| Comment(0) | 投資の感性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

決定的なタイミングについて

(クリティカルな年の重要な15日間)
・2001年末、TOPIX連動型投信に100万円投資した場合、13年後の2014年末には元本163.5万円となった。+63.5%である。
・この13年間で最もリターンが大きかったのは2013年の+54%だった。
・2013年において最も株価が上げた上位15日間を考えてみる。仮にこのタイミングを逃したらどうなったか。
・答え:2014年末の元本は104.4万円、+4.4%にとどまる。
・13年間のうちの15日間とは、総取引日数の0.5%に相当する。この決定的なタイミングを逃してしまうと、市場に居続ければ得られたはずのリターンの大部分(約93%)を失ってしまう計算になる。なんということでしょう。

(まとめ)
・タイミングをとらえるのはむつかしい。僕には無理である。
posted by SHOJI at 13:14| Comment(0) | 投資の感性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月08日

2014年版投資実験レポート Draft(インフレ・デフレ・為替換算を考慮に入れた場合)

日本株の、この13年間のパフォーマンスはどうであったか。
TOPIX連動型投資信託に投資した場合を考えると、次のような結果となった。

(期間)
期間は2001年末から2014年末までの13年間とする(実験ファンドの運用開始が2001年末なので)。配当は元本に加えるものとする。
※参考情報として、実験ファンドの複利利回り実績をカッコ内に記している。

(名目値)
答え:複利利回り+3.85%が得られた計算になる(実験ファンドは+6.58%)。これが名目値。

(インフレ調整後)
インフレ/デフレ率を考慮した場合はどうなるか。
答え:複利利回り+3.75%となる(実験ファンドは+6.45%)。インフレが微妙に進んでいるのだ。
ちなみにインフレ率はこの13年間で2014年が突出して高い(+2.4%*)。その他の年は0%をはさんでインフレ・デフレを行ったり来たりしている。インフレ率は、総務省統計局が公表する消費者物価指数の変動率を用いた。
*なお、2014年度のインフレ率は11月末時点の前年同期比の数値を用いている。12月末時点のものはまだ公表されていないため。

(ドル建て換算した場合)
ドル建て換算の場合はどうなるか。結局のところ世界はUSドルを基軸にまわっている。
答え:複利利回り+4.57%となる(実験ファンドは+7.32%)。円安が続いているとはいえ、13年前に比べればまだ円高なのだ。なお、円安の進行は2013年度が突出して高い(+22.5%)

(ドル建て換算インフレ調整後の場合)
さらにドル建て換算インフレ調整後はどうなるか。
答え:複利利回り+4.461%となる。(実験ファンドは+7.19%)
なお、ここで用いたインフレ率は日本国内の消費者物価指数である。

(総括)
・超低金利下であっても、この13年間を見れば、複利利回りで見てそれなりの水準のリターンが得られている(日本企業のROE平均は過去20年間を見れば5%程度である)。TOPIX連動型投信に13年間投資し続けてきた人は、元本が1.6倍に増えたはずだ(実験ファンドであれば2.3倍になった)。

・通貨別の取引量を見れば、USドルが世界全体の87%を占めるといわれる。世界経済はアメリカを軸に、USドルを土台に回っている。

・2014年、TOPIXは(つまり日本株は)+4.92%のリターンを上げた。ただしこれは日本人から見てのものであって、ドル換算ベースで見てみれば、TOPIXのリターンは△4.0%となってしまう。ロスだ。一方、米国S&P500連動型インデックス・ファンドは+13.69%となった。

・歴史的に直近100年程度を眺めて見れば、米国株式もインフレ調整後では概ね8%程度の複利利回りを上げて来ている(ここ数年間はもっと高いけれど)。日本株もおそらく、これにちかい水準に落ち着くのではないかと十数年前は思っていたが、ふたを開けてみればその半分程度にすぎなかった。ただ手前味噌ではあるが、実験ファンドを見ればそれに近い水準に喰らいついている。日本株オンリーでやって来たにしてはよくやっていると自分をほめてもいいのではないか。

・これからは海外を、特にアメリカの株式をしっかりと見て投資していこうと思う。実験ファンドの投資対象に米国株が加わる日も近い。

・ただ、米国株は好調な年が続いている(5年連続プラス。2011年を除き全ての年で2ケタ成長)ので、果たして今が割安かと問われればノーとこたえるのが正しいと考える。

結論は、これからも変わらず焦らずじっくりと、である。ただ、視野を海の向こうにも広げていきたい。

以上
複利利回り2014.png
posted by SHOJI at 14:06| Comment(0) | 投資の感性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月03日

2014年に読んでおもしろかった本の覚書

※投資には直接関係のないジャンルの本も交じっています。というか、そういう本ばかりです。

■第5位
「サイコパス 秘められた能力」 ケヴィン・ダットン 著 NHK出版
Psychopaths.jpg
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(本を手に取った経緯)
新宿コクーンタワーにある書店ブックファーストで何とはなしに手に取った。ある会社の株主総会からの帰りみちだったと記憶している。

(内容について)
サイコパスとは精神病質者のこと。ただしその特質には、「人を惹きつけてやまない個人的魅力や、人当たりがよくてそつがないように見せる才能」があるという。
この本の原題は”The Wisdom of Psychopaths”、直訳すれば「サイコパス(精神病質者)たちの知恵」となる。

「サイコパスの連続殺人犯によく見られる特徴――うぬぼれの強さ、説得力、外面のよさ、冷淡さ、やましさを感じないこと、他人を操ること――は、政治家や世界の指導者にも共通する」

そして良心を欠いた、社会に潜む捕食者なのだという。
また、精神病質者の傾向は社会的地位の高い人々にも広く見られるとも。

「『知的能力だけでは、悠長すぎて、二番手に甘んじることになるだろう』と、ある成功したCEOから聞いたことがある。『覚えておくといい、成功への道がすべりやすい棒を登るようなものだと言われるのもだてじゃない。トップへの道のりはきつい。だが他人を踏み台にすれば、いくらか楽になる。自分に何かメリットがあると相手が思えば、いっそう楽になる』」

チャーチルは「偉大な人物と善良な人が同一人物であることはまれだ」といった。

「爬虫類のような一点集中力と他人への全くの無関心ぶりが、重役室や法廷や手術室ばかりではなく、それらとはまったく別の世界で、大物の証になる可能性もある」

(印象に残った箇所の抜粋)
「成功しているサイコパスとそうでないサイコパスは似ていた」

サイコパスの程度を測るためのテストがある。

「成功しているサイコパスも、そうでない典型的なサイコパスと同じように、自己主張、刺激を求めること、活発さといった項目で得点が高く・・・利他主義や法律を守ることや謙虚さといった協調性の面では得点が低い。さらに自制心という点を除けば(これについては成功していないサイコパスはまったくだめで、成功しているサイコパスは優秀だった)、誠実性でも両者は似通っており、有能さ、思考と行動の秩序、目標達成に向けて努力することの項目で最も点数が高い」

(総括)
サイコパスから学べることってなんだろう、という意識を持って途中まで読んだが、そういうものは学べるものじゃないだろう。
世のなかには、こういう怖い人たち(捕食者だそうだ)もいるのだということを認識して生きていきたい。


■第4位
人間臨終図巻(上・中・下)
 山田風太郎 著 KADOKAWA
人間臨終図巻.jpg
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(本を手に取った経緯)
青山にある仕事先の近所に、何やら面白そうな本屋があったので入ってみた。書店の名は「ブッククラブ回」といった。そこで目についたのがこの本。

(内容について)
著名人の、死に臨んでの姿を淡々と記している本。
上巻は十代から五十五歳で死んだ人々324名、中巻は五十六歳〜七十二歳で死んだ307名、下巻は七十三歳から百代で死んだ292名を記述。
目次にある、今の自分よりも若くして亡くなった人々を見るだけで、うわっとなる。若いのに、しっかりした仕事成し遂げているなあと感心する他ない。モーツァルトは35歳で死んだ。アレキサンダーは33歳、キリストは32歳である。若者たちすごい。

(印象に残った箇所の抜粋)
「モーツァルト
――1789年以来ウィーンに住んでいたが、収入の少なさと妻のコンスタンツェともども経済観念の欠如のため――さらにそのコンスタンツェも骨膜炎でバーデンに療養にいっているため、貧しい一人暮らしを続けていた」
「(死後)集まったわずかの数人の知人と弟子は、おりからの雪まじりの悪天候のために墓地に見送ることも出来ず、死体はただ墓掘り人のひとりによって、セント・マルクス墓地のなかの共同貧民墓地に葬られ、数十日後にはその正確な場所さえ不明になった」

「アレキサンダー大王
――このヨーロッパのアジア侵略の開祖は、アラビア遠征の準備中、バビロンで熱病にかかり、十日間苦しんだのち、前323年6月13日の夕刻に死んだ。
死ぬ前に将軍たちが、帝国は誰にゆずるべきか、と尋ねたら、アレキサンダーは答えた。
「最もそれに値するものに」
アレキサンダー大王にしては、何だかつまらない遺言である」※その後、後継者を巡る大戦争勃発。

(総括)
こういう本が目につくようになったのも、死を想っておくべきお年頃になったからなのだろうと解釈している。


■第3位
続・100年予測
ジョージ・フリードマン 著 早川書房
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(本を手に取った経緯)
前作「100年予測」がめっぽう面白かったので、続編となるこの本も手に入れた。ハヤカワノンフィクション文庫は良い本が多くて好きである。そして予想どおり、これもまた非常に興味深かった。

(内容について)
邦訳のタイトルが「続・100年予測」となっているが、原題は”The Next Decade”、次の十年を予測するといった趣旨の内容である。

「一般に、予測の時間枠が長いほど、未来予測は難しくなると思われている。だがわたしは逆だと考える。個人の行動ほど、予測しがたいものはない。100年の間には膨大な数の決定が下されるため、その一つひとつは重要な意味をもたない。それぞれの決定は、一世紀をつくる決定の奔流に埋もれてしまう。しかし10年という短い時間枠のなかでは、一人ひとりの個人、特に政治権力を握る個人が下す一つひとつの決定が、とてつもない重みを持つことがある」

洞察が敷き詰められているようだと感じられる本との出会いは運命ととらえたい。内容に加え、文章も格調高くて読んでいて心地良い。訳者が優れたプロフェッショナルなのだろうと思う。

(印象に残った箇所の抜粋)
「100年予測とは、起こり得ないことを見極め、論理的に考えればあり得ないできごとを、すべて検討から外す技術である。シャーロック・ホームズがいうように、『すべての不可能を排除していくと、最後に何かが残る。どれほどあり得なそうであっても、それが真実のはず』だからだ」

「日本の工業生産は、資源の輸入と切り離して考えることができない。とくに重要なのが石油で、そのほとんどをペルシャ湾地域から運んでいる。つまり日本は本質的に、世界中に幅広い利益をもつと同時に、脆弱性を抱えているのだ。中国は原材料を輸入しているが、必要とあれば自前でまかなうことができる。それにひきかえ日本は、輸入が止まれば数カ月のうちにたちゆかなくなる。」

「欧米のエコノミストは、日本経済が停滞に陥った二〇年を称して、『失われた二〇年』と呼ぶが、これは日本の意図を正しくとらえておらず、日本の価値観に欧米の考え方を押しつけている。結束の固い日本社会は、成長を犠牲にして完全雇用を維持したことで、10年を無駄にするどころか、国の中核的利益を守りとおしたのである」

(まとめというか、さらに印象に残った箇所について)
著者はやがて起こるであろう出来事として世界戦争(21世紀半ば頃)を挙げている。そのとき衝突する主な大国は、アメリカと日本なのだそうだ。

「日本ほどの経済規模をもちそれでいて脆弱な国は、いつか必ず利益を自衛する方法を探さなくてはならなくなる」

「日本は追いつめられれば進路を変更して、1930年代の破滅的な政策に回帰するおそれがある。当時の日本は経済統制を敷き、国防に邁進していた。(アメリカは)日本を追いつめないよう、気をつけなくてはならない」

日本が?まさか?!といった感じの大胆予測である。一方、中国は張り子の虎だと切り捨てている。
ところで著者は、前作「100年予測」(2009年出版)のなかで、「ベラルーシとウクライナのロシア勢力圏への再吸収は、今後五年以内に起こる既定事実である」と書いた。規模は異なれど、2014年のクリミアとセヴァストポリ編入を予測し当てているといっていいのではないか。すごい。

いかなる難事も、予測できればそれは半ば回避できたも同然、と昔教わった。けれど、地政学的に見ての長期予測の場合はどうなのだろう。


■第2位
100年予測
 ジョージ・フリードマン 著 早川書房
The_Next_100_years.jpg
http://www.amazon.co.jp/100/dp/4150504091/ref=dp_ob_title_bk

(本を手に取った経緯)
地政学的アプローチにより、今後100年の間に起こり得ること、起こる可能性の高いことを予測し、解説してくれる本。
都内のあちこちの書店で何度も目にして気になってはいたが、100年予測などというものはまゆつばに決まっているとの先入観から買わずにいた。
2014年はロシアによるクリミア編入という出来事に衝撃を受けたが、その出来事を予測していた人がいて、その人物がこの著者らしいとあるとき知った。興味が湧いたのでパラパラとページを繰ってみるとおもしろそうである。買った。

(内容について)
「地政学が扱うのは、国家や人間に制約を課し、特定の方法で行動するよう仕向ける、非人格的な大きな力なのだ」

ところで、この本の価値は予測そのものよりも、現代の世界に君臨しているアメリカという国の、世界を統治するための基本方針を箇条書きにしてくれているところだと思った。こんなの習ってないぞ。

(印象に残った箇所の抜粋)
「(アメリカは)地域覇権国になりそうな国を手一杯にさせておくために、いくつもの同盟体制を絶えず組み替えた」

「アメリカは強国が出現しそうな地域の安定を乱そうとした。アメリカが目指したのは、地域を安定させることではなく、不安定に陥れることだった」

「韓国はそれ自体でも侮れない強国だが、その真の重要性は、韓国がアメリカにとって強大化する日本への対抗勢力であり、アメリカが日本海で勢力を誇示するための拠点だということにある」

(まとめ)
ここ数年の間、嫌中・嫌韓ということばをあちこちで耳にするようになって不自然さを感じていたが、各地の局所的な小競り合いで一番得をするのは誰かという視点から考えると、何やら点と点がつながるような感覚があって戦慄した。


■第1位
意識は傍観者である
デイヴィッド・イーグルマン 著 早川書房
Incognito.jpg
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(本を手に取った経緯)
池袋ジュンク堂のサイエンスのコーナーを、何とはなしに見ていて目に付いた。タイトルに魅かれて即買いだった。ジャケ買いに似ている。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー1位ということも背中を後押し。原題は”Incognito: The Secret Lives of the Brain”。

(内容について)
普段意識している意識(顕在意識)が、意思決定をしているのだと人は思いがちだが(僕もずっとそう思ってきたが)実はそうではないのだという。
意識できない深い部分の意識(潜在意識などと呼ばれる)において、思考は重ねられ、意思決定がなされている。そして当の本人は、その決定に至る過程の大部分を意識できていない。

ひらめきや思いつきは、実は深いところにある意識から与えられた結論に過ぎない。思考するのは潜在意識。顕在意識はその結論を受け取り、さも自身が(どちらも自分ではあるのだが)考えついたかのようにとらえて行動に移す。

そんなまさか、である。では自由意思とはどこに?といった話にもなる。

(印象に残った箇所の抜粋)
「私たちがやること、考えること、そして感じることの大半は、私たちの意識の支配下にはない」

「意識のあるあなた――朝目覚めたときにぱっと息づく私――は、あなたの脳内で生じているもののほんの小さなかけらに過ぎない。人の内面は脳の機能に左右されるが、脳は独自に事を仕切っている。その営みの大部分に意識はアクセス権を持っていない」

「正常な知覚と言われるものも、実際には幻覚と変わらない。外部入力によって固定されているだけである。幻覚は縛られていない視覚にすぎない」

「脳がつくるのは視覚と聴覚だけではない。時間の認識もつくりものだ」

(総括)
考えること、思うことについて、その認識を根本から変えさせられることになりかねない本である。
こういう考え方は、実は、精神世界・スピリチュアル系の人の話や本のなかで耳にしたことはあった。ただ、そういう仕組みをサイエンスの領域で語られるとなると、衝撃の強さ、納得の度合いがちがう。ただ、こういう衝撃はものすごく心地良いのでもっと欲しいものである。
2015年も意識・知覚を主要なテーマに据えて良書を求めつつ、そして出会いつつ、思索を深めていけたらいいなあと思う。
posted by SHOJI at 16:47| Comment(0) | おすすめ投資の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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