2014年02月13日

バフェットの敗北 その3

前回、バークシャー・ハサウェイ社の純資産増加率が、米株価の上昇率に負けたことは、実体経済の回復に比べて株価の上昇が急であることの反映ではないかと推察した。

その陰にあるのはもちろん、ゆるゆるの金融政策。アメリカが今ほど大量のドルを流通させていたことはなかった。

紙幣の大量発行(通貨の供給)によって、ドルの本質的な価値は低下した。

金の価格はここ数年間、右肩上がりで上昇してきた。金融緩和が過激なものになるほどに、急激に値を上げてきた。

ところで、ものの長さを測るとき、定規は勝手に伸縮したりしない。今日の1センチは昨日の1センチと同じだ。そうでなければこまる。

ところが、価値を測定するための通貨はそうではない。今日の1ドルは昨日の1ドルとは価値が異なる。そしてこの状況は日本円もかわらない。今日の1円の価値は、昨日の1円と同じではない。

金は、本質的に何も価値を生まない。過去をかえりみるに、金価格の上昇はインフレの進行と歩調を合わせてきたし、それは合理的な動きでもある。
紙幣の大量発行と同時に金価格が上昇するということは、金の価値が上昇したのではなく、金の価値を測る通貨の価値が下落したと見るしかない。

ドルや円といった通貨の価値の下落は、物価の上昇という形で僕たちの生活に影響を与える。この1年間で日本の消費者物価指数は1.6%上昇した(マネタリーベースの増加率を見ればそれで済んでいることが逆に不思議に思える)。

インフレの芽は金価格のなかに既に見られた。これが株価にもあらわれてきていると見るのは自然なことだろう(あらわれないわけがない)。

たしかに株価は上がったが、それは株式の(会社の)価値の上昇というよりは、ドルという通貨の価値の下落をも反映していると考えるほかない。

物価の上昇と同時に株価も上がる、このことは、株式という資産クラスのインフレ抵抗力を示しているともいえる。

僕たちは何のために投資を行うのか?なぜわざわざリスクを背負おうとするのか?
売った買ったをくり返して儲けるためではない(それは投機かギャンブルだ)。そもそも投資とは、インフレという経済災害から身をまもるために行う行為だということを思い出させてくれる。

証券とは英語で "securities"、 安全、安心を意味する言葉と同じである。その語源をたどれば、ラテン語にある securitas [se-(〜からの解放)+ curita(不安、心配)]に至る。

通貨の価値とは存外、不安定なもの。自らの資産価値をまもるため、保全するために証券を用いる、証券に投資する。

やがて来るかもしれないインフレの時代(その可能性は高い)に備えるために、僕たちは投資を学び、行う。

◎今回のまとめ:
投資とは本来、資産価値をまもるために行うものである。

※初出 2014.2.13発行「楽しい投資ニュースレター」
http://www.1toushi.com/mailmag/
posted by SHOJI at 12:03| Comment(0) | 会計と投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。